ISO14001とは

ISO14001は環境マネジメントシステムと言われている事は、皆さん、良くご存じと思います。
でも、このISOだけは、他のものと比べられないくらいの優れモノです。

それは、マネジメントシステムの考え方、Plan計画をたて、Doそれを実行し、Checkその結果を点検し、Act点検結果を評価して次の行動に結び付けていく。この方法が、わかりやすく実際に応用できるように作成されているのが、ISO14001です。

ですから、ISO14001を導入する事で、このマネジメントシステムの考え方を身につけられます。
環境マネジメントシステムの形だけを実行して、エネルギーがこれだけ毎年下がりました、廃棄物が減りました、いくら節約しましたという話は、ほんのささいな導入メリットです。

マネジメントシステムの考え方を経営全般に取り込み、実行していけたら、経営向上の大きな果実が得られます。

こんな優れモノの考え方、PーDーC-Aが、実際にどのように使えるか例をあげてみましょう。

Plan計画:
まず何かを始める前に計画をたてる、なんだ当り前の事と思われますね。
ではあなたは自分で何か計画を立てるとき、何から始めますか?

まず、すべきことは現状把握です。現在がどういう状態なのか、これをしっかり把握しないと正しい進むべき道が見えません。

ISO14001では、これを環境側面の調査と言っています。現在の自分達の環境の現状を知るわけです。
通常、環境負荷だけを現状把握する例が多いですが、進むべき方向も見定めての現状把握も大切です。
つまり、経営にメリットになる方向性です。どうやれば環境負荷を下げた経営ができるか、製品だけでなく、サービスでも、営業の仕方でも、総務の仕事でも、何でもこの現状把握の中に入れられます。ここにしっかりいろいろなものが入ると、次の具体的な計画、行動に結びついていきます。
ここにありきたりの環境負荷しか入らないと、経営に役立つISO14001にはなりにくくなります。

現状把握をしたら、次は目標の設定です。どのような将来にするのかを、この1年以内あるいは数年先を考えて作成します。
もちろん、現状に基づいてそこからの出発です。

目標の立て方には、フォーキャスティングとバックキャスティングという二つの方法があります。

フォーキャスティングは、現状に基づいてそれに立脚(達成可能な無理のない点)して定める方法で、部下からの積み上げ方式での目標設定がこれになります。
バックキャスティングは、トップが社会的情勢や自社の状況を考慮して、この点までいかなくては、会社にとって良くないと考えて、資源も考えて設定する高い目標です。(例:日産のゴーン社長の来たての3年間でこの目標と定めたのが有名です。)

目標が定まったら、その目標を達成するためのスケジュールを作ります。これは日程表のように、いつ何をするをきちんと決めたものです。
これをいい加減にすると、結局、目標達成は危うくなります。特にISO14001では、どのようにして、誰が、という点が大切です。

ここまでが、Plan計画です。ここまでに、時間とエネルギーをしっかり使ってください。


Do実施:
次は、計画の実行です。計画が正しく実行されるためには、従業員等皆が、自分は何をやるべきかをしっかり理解する必要があります。教育・訓練と言われるものです。

そして、誰がやっても同じように出来るように手順を定め、きちんとやったことを証明できるように記録にとります
また、手順などの文書が勝手に変えられては困るので、文書の管理もきちんと定めます。

また、情勢が変わったり、手順が変わったり、新しいテーマやプロジェクトが出てきたりしたことが皆に伝わるように、また、実際にやってみた場合の問題点を検討したりするためにも、相互のコミュニケーションが大事です。同じように何か緊急事態が発生した時どうするかの対策も大切です。

Check点検
ここでは、実施した結果を確認します。上司の点検もありますが、全体としてはISOは内部監査という形での点検です。
種々の点検が実施されますが、まずい点が見つかった場合の対処が、とても大切です。同じような失敗が2度と起きないように、失敗の原因を調べて、同じような状況が起こらないような対策をとります。

Act見直しと次のステップ
点検した結果を評価して、次の行動へ結び付けていくのが、Actです。
トップが、PDCの状況の情報を入手して、次のステップをどうするかを考え決めます。

この段階が、適切に行われると、PDCAはスパイラルに運営され、継続的に改善が行われていきます。