男性と女性の違い

 

男社会の中で、40数年を生きてきて、そして結婚生活を振り返って、つくづく思うのが、男女の違いを、もっと正しく前向きに捉えたいという事です。今までに感じた事、考えた事をまとめてみました。


脳の違い

男女の脳の構造の違いが、ある事はよく知られています。それは、昔よく言われた優劣ではなく、脳橋(Brain bridge)といわれる左右の脳をつなぐ部分です。男性より女性の方が、この脳橋が太いのです。解剖学的な事実です。それは、どういうことかというと、左右の脳の使い方に違いが出来るのだろうと思います。女性は左右の脳を協働して働かせる事が出来るのではと私は考えています。(前、長谷川眞理子先生に同意を求めたのですが、必ずしも賛成されませんでしたが。)

昔、結婚してしばらくして、こんな事がありました。
ある時、夫が、何かについて「これはこういう事だから、こうすべきだ。」と言ったのです。
その時、私はなるほど、理屈はそうだけど、何か気持ちが納得しないなーと思いました。
それで、どうして私はそう感じるのだろうと、一生懸命考えてみました。自分の感情を分析してみて、どうして自分がそう感じたかを考えました。そして、それなりの理屈をつけて、数日後、夫に言いました。
「2-3日前に、あなたはこうこう言ったけど、でもこうじゃない?」と自分の理屈を言いました。
そうすると、夫は「あ、そうか」と言ってすぐ引っ込んだのです。
てっきり、反論されるだろうと思い、それなりに備えていた私は、えっ?と驚きました。
そして思いました。あー、男は理屈がすべてなのだと。
それ以後、夫婦喧嘩と言っても喧嘩と言っても議論という方が適切ですが、それは私にとって自分の考えている事、感じている事を言葉で表し、相手を解らせるための良い訓練の場となりました。
夫は、法学部の出身だったので、理系の私には、本当に良いトレーニングだったのです。
それ以降、40数年を男社会の中で、なんとか生き抜いてこれたのも、この夫婦喧嘩のお陰と感謝しています。

女性は多くの情報を受けとめる右脳と合理的に考え表現する左脳の両方を駆使して考える事が出来るように思います。
男性は、左脳だけ考えるため、目的に向かって進んでいく事には長けているけど、多くの社会情勢等も踏まえて物事を進めていくのは苦手なのではと考えています。(産業の発達ばかりに熱中して、環境問題、生活問題が置き去りにされた事実)
食品企業を見ていて、多くの人々が、いかに新商品を開発するか、或いは売上げを伸ばすか、安く作るかをばかりを考えていて、その食品を自分の家族が、子が、孫が、食べる事は想定していないのではと思った事と符合する気がします。(昔、家族には食べさせられない、自分も食べないと言っていた食品事業者もいました、)

思考の軸の相違

このような題で表現してよいのかわかりませんが、男女の考え方の相違です。
よく知られている事ですが、女性は知らないもの同士ですぐおしゃべりを始めます。
男性はまずそのような事はしません。女はおしゃべりだと半分軽蔑したように見ているのが、かつてでした。
でも、これは大きな男女の考え方の相違を反映している思います。
女性は、一般的に、フラットな思考を持っています。誰でも皆、平等だと思っています。だから隣の人とも気楽に話せます。
男性は、ヒエラルキーの思考がほとんどです。つまり階級思考です。男性同士はお互いのヒエラルキーの位置が確認できないと落着かず、話をしたがらないのです。お互いのヒエラルキーがわかると落ちついて話を始められるのです。

この考え方の相違は、良い面も悪い面もあります。
私が会社にいた時、その良し悪しを経験しました。
ある部署に配属になった時、管理職である私は、その職場の仕事に慣れていないのを見て、部下であるはずの女性が、私に命令したので。「これをやって」 さすがにむっとして、そうはしませんでしたが・・・。

ところが、仕事が変わり、工場との関係が出来、工場に行って仕事をするようになりました。
すると、私の直接の部下ではない工場の人が、管理職であるという理由で、私の言う事に従ってくれるのです。
私としては、直接の上下関係ではないので、対等の関係と思っていましたので、相手の態度にとても驚きました。

そして、男性はヒエラルキーでものを考え、女性はフラットに考えているという事に気づいたのです。
女性は、上下関係でなく、相手に実力があるかどうかで、仕事をするしないを考えているのです。
そういえば、昔から、会社で「女性は言う事を聞かない」とよく言われていました。その正体は、これだったのかと思い至りました。
上司であっても指示が不当なら従わない、これが「女性は言う事を聞かない」理由だったのではと考えました。

女性がそのように考える基は、多分、正義感が強いのではと思います。仕事をするにしても正義感のあるポリシーを持ち続けており、社会的な価値観を会社の中でも持ち続けているのです。
男性は、ヒエラルキーだけでなく、家族を背負っていると言うような、他の要素もあって、上司の言う事には不正義であっても従うのでしょう。特に日本の会社は、今まで封建的な習慣をもっており、会社内を完全な別世界にしていました。会社内だけで通じる言葉を使い、会社内だけのルールに従っていました。
昔、夫の友人が、k銀行に入社したら、数字の書き方を練習させられたという話を聞きました。その銀行独自の数字の書き方、特に2がそうだったようですが、会社の習慣になにもかも従う事が、新入社員に課せられていたのです。

男性ばかりの社会が、間違った方向に走り続ける可能性が高いのではと思います。
女性の多くの情報を捉え、それに基づいて考えられるのなら、その能力を使わないのは、社会として多きな損失です。決して人数だけの問題ではありません。そして女性の多くが持っている正義感は、CSR(企業の社会的責任)の観点からも会社の中でもっと尊重されるべきと考えます。

生物の多様性が最近言われていますが、日本の社会でも早く男女の多様性を取り入れないと、新しい転換は出来ないでしょう。
今までのようにしていたら、日本は落ち込んでいくばかりだろうなと心配しています。