フクシマと甲状腺異常 本文へジャンプ
 
予てからセシウムは心臓に沈着するので、心電図検査が必要と述べてきましたが、EU放射線委員会のクリス・バスビー教授が、ベルラーシの経験からフクシマに警告しています。2008年におけるベラルーシの死因の53%近くが心臓疾患なのです。悪性新生物(がんや白血病)は、14%弱なのです。
以下ヤマモト コズエさんの訳文をご紹介します。


放射線被曝と福島の子供の心臓発作 クリス バスキー.
作成: Kozue Yamamoto 日時: 2012年10月9日 14:41 ·
.http://www.llrc.org/epidemiology/subtopic/caesiumheart.pdf

一般的に放射線被曝の弊害はがんと白血病だと考えられている。これは、現在の放射線防護のシステムによる被曝の最終的なリスク症例である。
個別に見ると被曝により何年後か後に癌を発症していきます。また高線量では、死に至る確定的な影響が在る事を認めている。
チェルノブイリの降下物や福島の原子炉の汚染の中で主として長く生存する放射性核種であるセシウム137の内部被曝の癌ではない影響について今回は話したい。
長期的な被曝により発達過程の子供の心臓にセシウムが如何にダメージを与えるかについて考えたい。

最初に、私達はその影響を推測しなくてもデータがあります。
チェルノブイリ事故で汚染区域であったベラルーシに住んでいた子供達のユリ、バンダジェフスキー氏による偉大なる研究結果があります。
平均的な体重でセシウム137が40Bq/kg以上あると不整脈,心臓の機能不全(狭心症)や死へと直結する心臓発作(心筋梗塞)等、心臓に問題が起き生命が脅かされる。

Fig1は2009年に欧州委員評議会がリズボンで行った放射線リスク会議でバンダジェフスキー氏が発表された重要なものでエドワード·ラドフォード記念賞を受賞しました。
それは20Bq/kg以上の汚染レベルになると心電図で検査で不整脈の異常が認められるというものです。
これらの研究結果により博士はベラルーシ政府により数年間刑務所に送られました。

彼は欧州連合(EU)の大規模な圧力で釈放されEUパスポートが発行されました。
何故こんな事が起きたのか?疑問を解きたい、どんな経路でこんな事が起きたのか

子供の心臓の症例
ICRPの基準のデータによると、5歳の子供の心臓の質量は220グラム、組織だけでは85グラムです。
心臓は重要な臓器で驚かされるのは、ポンプが継続的に個々の寿命のために動いていることです。
心筋細胞は物理的にエネルギッシュな細胞で疲れることなく平均的な寿命では3億回以上収縮(拍動)します。その鼓動活動(拍出)を30億もの心臓組織を調整することによって、意識する事無しに毎日10万マイル(約6万5千キロ )の動脈に,7000L以上の血液を送り出している。
心筋の細胞数は3x10^9 円柱形の長さは100-150ミクロンl, 直径20~30ミクロン再生が効かず、非常にゆっくり一年に1%の割合でしか再生しないので,一度心臓発作を起こすととても重篤です。
人間の心臓には3x10^9個の細胞で成り立ち、子供の心臓の組織質量は85g 細胞密度は3,5x10^10/kgです。 放射線核種セシウム137は、筋肉に蓄積することが長年にわたって知られてきた。てみましょう
心臓の筋肉組織にCs-137が50Bq/kgあったとしましょう。これは、1秒あたりβ粒子が50回通過、それとは別にγ粒子の崩壊による娘核種Baが20回通過し毎秒70回通過する事になります. 約400の個の細胞がそれぞれ交わります。
子供が慢性的にこのレベルのセシウム汚染区域に住み1年生活すると通過数は70X60x60x24x365=2.2×10^9/kg/yearこれは、細胞が放射線通過にあたるのは8.8×10^11回だという意味です

このケースだとそれぞれの心臓細胞は、放射線通過に25回ずつ当たります。もし、これらの通過でわずか1%の細胞が死んでしまった場合それはつまり、子供の心臓は、その機能的能力の25パーセントを失うことになりその部分壊死は高齢者の場合と同じように、伝導に影響し心臓に負荷がかかり不整脈、心臓発作が続き残りの全ての細胞は死んでしまうでしょう。
確かにこのように心臓の筋肉はもともとダメージを回復する事がなかったのです。
60年代の大気中のテストで炭素14が心臓の中に組み込まれ、それで年間1%の再生率があると分かっただけなのです。

心臓は体の中でとくべつに重要な臓器であることがわかります。一度細胞が破損されれば修復することはできません。
これがチェルノブイリの子どもたちが心臓の病気から死ぬ理由です。
また、ベラルーシの大人の心臓病増加と死亡の理由です。Fig2、Fig3より

福島

最近福島の汚染区域に住んでいる子供達が心臓病で苦しんでいると聞きますが先に述べた心臓病がセシウム137と他の放射性核種に起因して起こされる被曝経過です。
この大変重大な結果がECRRコミッティーにより認められ2009年のリズボン会議で発表されたバンダシェフスキー氏の発表を公表することになりました。

福島の汚染地区に住む人たちの含意
Cs-137を吸入や食物や水からの摂取を考慮し汚染地域に住む子どもたちに健康調査及びECGテスト(心電図検査)を至急開始する事、子供の心奇形や不整脈を有すること、また、苦しんでいることが判明した場合、すべての子供を直ちに清浄な地域に避難させる。

心臓の問題は、すべてのことに優先させ子供をを避難させる必要があります。

放射線リスク評価のための含意
疫学的研究の見地だけに立ち、その最終的な状態であるがんや白血病だけに集中するのは心臓や循環器問題とは異なり年齢によりガンの発生率が異なる傾向を持っているので、放射線リスクを考えたとき欠陥のあるアプローチのし方である。
(心臓病は急に亡くなり、一回起きると重篤になるのでリスクが高い)
この問題が考慮されていないのでリスク係数を遡及的に観る必要が在ります。
例としては、核実験中の退役軍人やラジウムとトロトラストによる被曝等です。
要点は簡単で心臓病で死亡した場合、がんは発症できない
この証明は、Fig3のベラルーシに著明で、福島の健康管理の為に重要な意味を持っている。

年令制限なく広範囲な非特異的老化現象はバンダジェフスキー氏により鮮やかに記述さています。

結果は人生の驚くべき損失です。これは、Fig図4に見られるようベラルーシの人口がネガティブに移行しています。

Fig 1 心電図検査せずにセシウム137が組織に蓄積していた子供の割合


Fig 2 ベラルーシ共和国における心臓疾患の動向(縦軸は患者絶対数)


Fig 3 ベラルーシの死亡要因構成 2008

心臓機能異常 52,7%  悪性疾患 13,7%  外因 10,7%  消化器疾患 3,4%  呼吸器疾患 3,0%
感染症 1,0%  泌尿生殖器疾患 0,7%  その他 14,9%


Fig 4 ベラルーシ共和国の人口推移 1950~2004

References:Bandashevsky Y I (2011) Non cancer illnesses and conditions in areas of Belarus contaminated by radioactivity from the Chernobyl Accident. Chapter 3 in Busby C, Busby J and de Messiered M Eds: Proceedings of the 3rdInternational Conference of the European Committee on Radiation Risk, Lesvos Greece, May 5-9th2009. Brussels: ECRR (see www.euradcom.org )Severs NJ (2000) The Cardiac Muscle Cell Bioessays 22. New York: John Wiley