国連人権理事会特別報告 本文へジャンプ
 
2012年11月15日から26日まで、国際連合人権理事会から独立専門家としえ派遣されたアナンド・グローバー氏の報告です。その目的は、被災地の人々が、達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利の実現が行われているかどうかを調べる事です。以下、11月26日のプレス発表での報告書の要点です。少々長いので要点をまとめて記載しました。この内容を政府が無視しなければよいのですが・・・・。

① 原発事故直後にヨウ素剤の配布を行わなかったのは、問題。又、SPEEDIによる情報が公表されず、多くの住民がホットスポットに避難してしまった事は、政府の信頼性が問われる。
② 年間20mSvを安全としているのは、1972年に定められた基準と比べ差がありすぎる。20mSvは原発労働者の被ばく限度基準。年間2mSvを超える管理区域は妊婦の立ち入りが禁じられている。
③ 年間100mSv以下でも癌その他の疾患が発生する可能性はあり、疾患の発症に下限となる放射線基準値はないと考えられている。
④ チェルノブイリでは、年間5mSv以上は強制移住地域であった。
⑤ 日本政府の規制値とチェルノブイリ或いは疫学研究の知見との間に一貫性がなく、住民との混乱を招いている。又、政府公表の数値が実態を反映していず、住民の測定値も有効なデータを取り入れ子公表すべき。
⑥ 日本政府は、放射線汚染区域における放射線による健康影響をモニタリングして、適切な処置を取るべき。(日本政府の健康管理調査の対象が、福島県民及び災害発生時に福島県を訪れた人に限定されている点を指摘)
⑦ 100mSv未満でも種々の疾病が生じる可能性があるので、健康を享受する権利の枠組みに従い、慎重に慎重を重ねた対応を取る事、又、包括的な調査を実施し、長時間かけて内部被曝の調査とモニタリングを行うよう奨めている。
⑧子供の甲状腺検査も、基準値以下の場合、二次検査を受けられず、医療記録ももらえない事実に懸念。
⑨原発作業員の健康モニタリングも行うべきで、何重もの下請け会社を介在しての短期雇用でなく、放射線に被曝した作業員全員に対してモニタリングや治療をすべき。
⑩ 事故後の仮設住宅はバリアフリーでなく、女性や子供への配慮も薄い。原発事故による住民の避難も家族間の分裂を生み出しており、日本政府は早急に解決すべき。
⑪ 食品の安全基準がまだ高く、早急に強化すべき。
⑫ 汚染地域の放射線レベル引き下げについて、20mSv未満を1mSvまで下げる具体的スケジュールが示されていない。
⑬ すべての避難者に対し、経済的支援を行うべきで、避難するかしないかも自分で判断できるようにすべき。
⑭ 事故を起こした東電の説明責任が十分に果たされていない事に多くの国民が不満に思っており、健康を享受する権利の枠組みにおいても、責任者の説明責任を定めている。日本政府は東電も説明責任がある事を明確にし、納税者が最終的な責任を負わされる事の無いようにすべき。
⑮ 健康を享受する権利の枠組みにおいては、地域に影響が及ぶ決定に際して、そうした影響が及ぶすべての地域が決定プロセスに参加するよう国に求めている。即ち、今回被害にあった人々は、意思決定プロセス、実行、モニタリング、説明責任プロセスに参加する必要がある。この酸化によって気邸事項が全体に売った÷だけ全体に伝わるだけでなく効率的に復興を成し遂げる為にも必要。
⑯ 日本政府に対し、被害にあった人々、特に社会的弱者をすべての意思決定プロセスに十分参加させるように。被災者支援法が制定されたことは良い事なので、早急に具体的に施行できるよう社会的弱者を含む被災地域が十分参加する形で基本方針や関連規制の枠組みを定めるべき。