ウクライナ調査報告(食品と暮らしの安全基金調査旅行報告より) 本文へジャンプ
 
食品と暮らしの安全基金(旧称:日本子孫基金)は、9月に第3回ウクライナへ調査団を派遣しました。その報告書を手に入れ、現在のウクライナの状況を知り、少しでも多くの人に知ってもらいたいとご紹介します

昨年の4月、チェルノブイリ事故25年の節目で、ウクライナ政府が報告書を出し、その邦訳版も少しづつ出てきて、健康な子供達が、ほとんどいない事が報告されていますが、この調査団は更にその事実を確認しています。
具体的には、3つの学校で、子供達に、足やのど、頭が毎日のように痛くなるかどうかを挙手で聞いたところ、7割の子どもが痛いと言いました。ウクライナ政府の報告書で、健康な子は6%と言われているので、多すぎる数字ではないと思われる。唯、日本が援助している放射線医療研究所の所長は、放射能のせいではないと日本の専門家と同じような事を言っていたそうです。
9月23日に放映されたNHKの{ETV特集・汚染地帯からの報告-ウクライナは訴える}では、今回の調査より汚染度の高い学校で、485人中、正規の体育の授業が受けられるのは14人しかいないと報告しているの。先生達も「昔の子は元気だったが、原発事故後は健康でない子が急激に増えた」と一様に語っていたそうです。
先の7割の子供達がどこかが痛いと言っていた場所の汚染度は、0.08μシーベルト程度で、ほとんど高くありません。それ故この健康被害は、内部被曝が原因ではと考えられますが、この地域ではキノコ類の摂取が多く、Cs137は200-400ベクレルが通常との事。他の食品は数ベクレル程度。汚染地域では検出限界1.3ベクレルだが、非汚染地域では10ベクレルなので、厳密にはわからないが、他はほとんど汚染されていないと考えると1日10ベクレルの摂取が想像される。これは、ICRPがPublication 111として公表した図2(1回1000ベクレルを摂取しても800日位でなくなるが、1日10ベクレルを1000日摂取すると1400ベクレル蓄積するとした情報と共通し少量毎日摂取の蓄積の結果が、7割の子どもの痛みの原因ではと思われました。
このような痛みはなぜ起こるのか、この報告書によると足通や頭痛は、細胞死をカバー出来なくなっている事から生じているのではと言っています。放射線により分裂する細胞の悪影響(がん等)は言われているが、あまり分裂しない細胞への影響は、語られていない。細胞分裂が遅いので、遺伝子の傷つきをカバーする能力も低いので、臓器の異常や神経に障害が起こるのではないかという。
このような体の異常を治す方法は、セシウムの生物学的半減期70日間の療養です。この基金の援助で転地療養したナタリアさんという女性の例が示している。45日ではまだ良くならなかったが、54日目に少し痛みが少なくなり、70日目には、痛みが完全に良くなったそうです。体からセシウムを排出する事の重要性が証明されました。
この事実からも、福島の子ども達をそして大人も皆、西日本へ移って欲しいと思います。 
                                                    三原翠
この報告書は、更に、チェルノブイリの2号炉の爆発を止めた方にお会いし、2号炉内部の見学もしたり、ツアー参加者の感想等も載っています。