野村大成先生の次々代までもの影響のお話し紹介 本文へジャンプ
 

2012/12/12
食品と暮らしの安全」に野村大成先生の発癌物質や放射線による影響が、次代、次々代へ出る事をお話しされている記事を読んで何十年も前、私がまだ研究者だった頃、阪大の野村先生と言う方がすごいことを証明されたとネズミの絵と共に聞いたことを思い出しました。これだけの仕事が、あまり知られていなかったような気がしてご紹介します。
以下、野村先生のお話の要点です。
① 安全神話の元で、東大を除き、原子力工学が廃止され、原子力の人体への影響を研究する放射線基礎医学講座も大阪大学を除いて、自然消滅してしまった。目先に利益を優先して安全性の基本理念がなくなっていた。
② このような状況で事故が起こったため、記者自身、放射線障害の歴史や事実を無視した政府の発表に質問もコメントも出来なくなっていた。大手のテレビや新聞は「安全と言ってほしい」と言うので、取材は拒否。週刊誌はまだましで、週刊誌の報道は決して過剰反応とは思えない。特に女性記者は、本能的に危機を察しているようだった。(2000年の別冊宝島「これから起こる原発事故」のとおりであった。)
③ 除染で被曝し、放射能は拡散する。除染の怖さがわかっていない。
④ 1993年位ソ連が放射性廃棄物を日本海に投棄した時は、国際問題と非難したが、その時の汚染は日本海海底土で7ベクレル/kg、福島では、4月1~6日の6日間で、Cs940兆ベクレル海洋に漏出。ヨウ素を含めると4700兆ベクレル。フクシマの海底土から30㎞圏外で、8000ベクレル/kgを超える事度々。
⑤ 1970年代、発癌物質が孫にまで影響が出る事を証明し、更に投与量に完全に一致して少量でも影響が出る事を世界で初めて証明し世界的に有名になる。放射線の方がピンポイントにDNAを傷つけるので以降、放射線で動物実験。
⑥ 放射線を1度浴びただけでネズミの子や孫に癌が発生し、突然変異では説明できない多さだった。それでも10%以下であった。しかし、生まれた子供に有害物質や放射線を当てると子供は癌だらけになった。
⑦ この動物実験からわかる事は、フクシマで放射能を浴びた人は、日常での有害物質や更なる放射能の取り込みにより、ますます癌になりやすくなる可能性が大きいという事。
⑧ 英国の再処理工場の従業員の子どもに白血病のリスクが、7~8倍高いという論文があり、まさしく人間でも起こった。精子被曝による子どもの白血病は裁判沙汰になったが、患者が4人だったこともあり却下になったが、附帯意見として、「子孫への影響を見るこの研究は極めて大事なので、今後世界中で推進される事を望む」が記載された。
⑨ 放射線や発がん物質の影響が何故次々代まで影響するのかは、突然変異だけでは説明できません。いろいろな遺伝子が、正常な部分の組織の遺伝子にも多かれ少なかれ変化が起こり、それが蓄積されて癌にかかり易くなると2000年から2003年頃に報告し、認められている。
⑩ 一瞬の被曝であっても、細胞・遺伝子などに起きた傷が残り、将来の癌や遺伝的影響に結びつくので、内部被曝の場合、放射線を出すものが、長期に体内に残存するので注意してもし過ぎる事はない。
              以上、月刊誌「食品と暮らしの安全」2012年9月1日号より まとめ 三原翠