GNH(国民総幸福)とは 本文へジャンプ
 
ブータンの実施しているGNHは、決して幸福度計るための尺度ではありません。それは国民が幸福になるためのサポートを充実させようという取組です。そしてその幸福は、人間としての根源部分から将来世代、さらに、ブータンの国内で生きるすべての生きとし生けるものへの幸福です。
ブータンのGNHの基本の4本の柱(GNH:枝廣淳子、草郷孝好、平山修一著より)
  1.公正で持続可能な社会経済発展
    公正でというのは、国民や地域にその経済発展や社会発展の恩恵がいきわたるようにすることで、即ち、この中には、将来世代へ負担を先送りするような開発を行わないという事で、単なる持続可能というとリサイクル位しか考えられない日本とは、明確に異なります。日本の環境基本法でも、持続可能性を将来の世代のニーズを満たすように現在のニーズを満たす事と定義していますが、ニーズだけの狭い解釈です。
  2.自然環境保全
    日本における自然環境保全は、人間にとっての環境保全ですが、ブータンでは、生態系のバランスを崩してはいけないブータン特有の自然環境を守り続ける事です。
  3.伝統文化の保全とその促進
    ブータン固有の伝統文化を継承することを謳っています。地に足を付けての社会発展を考えている事が明確です。
  4.良い政治(グッドガバナンス)
    一人一人の尊厳を重視し、住民参加型の透明性の高い政治運営を責任を持って行う事が大事としています。
    これら4本の柱は、優先順位のない4本だそうです。
    日本における政治の方向性が、昔から、弱者に冷たい事、3.11でも明確になった情報隠しや、知らしむべからず寄らしむべしが感じられる事と比較し、うらやましい限りです。

憲法とは、ウィキペディアによると、「国家権力の組織や権限、統治の根本規範となる基本原理・原則を定めた法規範をいう(法的意味の憲法)」と記載されています。伊藤真氏によると憲法は、国が国民に対し誓う内容で、国民を規制するものではなく、国を規制するものとの事です。つまり、憲法は国のすべき事が記載されているのです。一方、法規制は、国が国民に対し、国民が守るべきものを記載しています。

以下ブータン憲法のGNHに関わる部分を海象社のGNH(先に紹介)よりご紹介します
ブータンの憲法9条国家政策の原則:国家は国民総幸福GNHの追求を可能にするよう諸条件を促進するよう努めなくてはならない。
即ち、ブータン政府の仕事は、ブータン国民が幸福を追求を可能とするようなブータン社会づくりに努める事と言っています。日本の憲法の幸福追求権は、個人の幸福追求の権利を保障するといった受け身である事と比べると積極的に国民を幸福にしようという姿勢です。
9条第7項では、政府は所得格差や富の集中を最小限にするとともに、個々人や異なる地域で、生活する人々の間において、公共施設を公平に配分するような政策を形成し、実行に移さなければならない。
第10項:政府は自由市場競争を通じての民間セクターを促進し、育成し、また商業的独占を排除するようにしなければならない。
第11項:政府は国民が十分な暮らし向きを確保できるような環境整備を促進しなければならない。
第16項:政府はすべての子供に10学年までの無償教育を与え、技能や専門教育の普及と納涼に応じて、高等教育への機会が平等に与えられるように努めなければならない。
第19項:政府は、地域における協働や拡大家族の保全につながるような諸条件を促進するよう努めなければならない。
第20項:政府は、仏教精神と普遍的な人類の価値観に根差した思いやりなる社会の持続的発展にうtながる環境づくりに努めなければならない。
第21項:政府は、近代医療と伝統医療の両面から、基礎的な公衆衛生サービスを無償で提供するように努めなければならない。
第22項:政府は、個人の及ばぬ事情により、病気や障害を持ったり、生活の糧を失った国民には、生活保障を与えるようにしなければならない。
更に、第5条環境第2項において、全国土の60%以上を森林として保全するとあります。