2012年環境行政改革フォーラム研究発表会報告 本文へジャンプ
 
ここでは、3月4日に行われたNPO環境行政改革フォーラムの発表会の内容をご紹介します。
青山貞一東京都市大学教授による基調講演:立法府が本来の機能を取り戻す為に
1.かつての政官業(利益配分のトライアングル)から、現在は、政官学業報(現状追認のペンタゴン)の既得権益配分へと利権構造が変化してきた。そのため、本来社会の木鐸であるべき報道・マスコミが、実社会の利権構造の一員となり、政府広報機関と化してきており、学者や研究者は、国等の審議会に組込まれる事で、実社会の第三者として監視する立場をなくしてしまった。(原発・放射能報道の在り方が、どうしてマスコミで真実が報道されず、インターネット上にしかないとう現状がよくわかりました。)
2.多くの国民は、無批判に大メディアの論調を信頼している。世界の国民がいかなる組織に信頼を置いているかという60か国のアンケートの結果、日本国民は70%以上が大メディアを信頼しており、英国では14%、米国26%等々で、他国には見られない現象であった。日本では一番信頼されているのが新聞雑誌の大メディアで、次が軍隊、警察、国連、労働組合、行政、大企業、国会(約20%)、宗教団体の順である。
3.国だけで240以上ある審議会は、官僚が作ったテンプレート(下書き)やシナリオ(筋書き)の元で、あらゆる政策や立法が官僚主導で進められている。このような審議会委員は、国や自治体に対し、専門家としてのお墨付けを与える一方、法的には全く責任がない。しかも、専任の審査委員の報酬は、1800万円超もあり、官僚の天下り先になっている。(私もかつて農水省の小さな審議会の委員をしたことがあります。無駄としか思えないプロジェクトを思惑どうりに進めるためのものでした。)
4.原子力村(経産省、文科省)という言葉が一般になってきたが、実際は、ダム村(水資源村、国交省)、道路村(国交省)、気象村(気象庁)、薬事村(厚労省)、医療村(厚労省)、焼却村(環境省)、PLC村(文科省)等あらゆる分野に存在する。そして原子力委員会等で明らかになったように、審査すべき先からお金をもらって平気で審査しているます。
5.本来は立法府(国会)が政策立案や立法を行う事が政治主導であり、行政はそれらの法律に基づき、行政実務を淡々と実行するのが民主主義の本道である。実際は、行政(官僚)が大部分の行政法を実質的に制定している。その結果、立法府による行政府のコントロールは出来ず、幅広い裁量権を持つ、国民に選ばれない、正当性のない行政、官僚が跋扈している。審議会や検討会は、行政や官僚が内閣法を制定したり、省令、政令を改正したりするうえで、アリバイ的に利用する格好のツールとなっている。欧米ではこの種の審議機関はない。
6.司法においても、司法制度は、司法試験⇒司法修習⇒裁判官任用⇒司法官僚制度、行政訴訟時の訴務検事制度等すべてが行政に都合のよいようになっていて、和解を含め行政訴訟の住民勝訴はわずか6%程度である。欧米のように、団体訴訟権や実体法に移民訴訟権を盛り込むと行政訴訟が起こしやすくなり国民の勝訴率も高くなろう。
7.今回のフクシマ原発事故における原子力委員会、原子力安全保安院等の委員会が、専門家としての機能を果たせなかった事から、審議会、委員会等の委員の選出が、行政依存でなく、公的な選任方法の導入が必要である。これは英国で行われており、公職任命コミショナー制度の導入が望まれる。
これらの内容はUSTREAMで見れます。
鷹取 敦:震災ガレキ広域処理に関わる亀裂の原因・非公開の検討会−災害廃棄物安全評価検討会の議事録等開示請求の経過報告−
広域処理をどのようにして決め実施していくのかを知るための記録を追っていった結果の報告です。
1.災害廃棄物を広域処理するとしているが、その対象に福島県の廃棄物は含まれていない。勿論、放射能汚染を考えてである。しかし、当初考えていたより、放射能汚染が広く、広域処理を考え直すべきであった。
2.災害廃棄物安全評価検討会の議事録に関しての経過
 第1回〜4回議事録開示(請求により2か月後に開示)
3. 第5回、第6回の議事録開示要求に、議事録を作成しなかったため不存在のため不開示の連絡。正式な会議の議事録を作成していないのは、担当部署の業務怠慢であるはず。
4.第7回、8回も不存在の為不開示
1回目の開示請求をした後の会議から、不開示になった事、5回目から広域処理に関する議論が始まった事の影響とも考えられる。
5.公文書等の管理に関する法律
内閣府の「公文書管理制度」の説明によると、「公文書等(国の行政文書等)は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史事実の記録であり、国民共有の知的資源です。このような公文書等を適切に管理し、その内容を後世に伝える事は国の重要な責務です。」とある。この観点からも議事録を作成しない事は不適切である。
6.ICRPもその勧告111で、最適化プロセスの透明化、重要な情報はすべての関係者に提供される事、及び情報に基づく決定を目的として意思決定プロセスを追跡出来るように記録し適せ鵜tに文書に残すことを前提としていると述べている。日本政府は、ICRPの勧告の数値の一部をつまみ食いするのではなく、ICRP勧告の本質を踏まえて対応すべきである。

青木 泰:放射能汚染災害廃棄物(ガレキ)の焼却−放射性物質を拡散する世界の禁じ手
原発事故後、国や東電は、事故を起こしたことの反省や責任も情報の公開も、事故の影響の拡大防止もない国の無責任体制が、の延長線上に、、放出し瓦礫の広域処理があります。
1.フクシマは広島原爆の168倍、残存影響量で、3000倍の100京ベクレルもの放射性物質を東日本一帯に降らせた。
2.環境省は汚染がれきを焼却処分しているが、バグフィルターでは放射性物質が除去される事は証明されていず、その検討も実例もない。実証試験をすべきである。
3.これ以上の汚染を防ぐために、原発からの放射性物質の放出ストップ、除染、汚染物焼却に停止が必要である。


まだまだありましたが、多くの方に是非知ってもらいたいものをご紹介しました。(三原)