YMCA現在史勉強会
  「改憲」してどんな国にしようというのか?
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4月6日に行われたYMCAの勉強会に、急に誘われ、出席しました。
講師は、神戸大名誉教授の浦部法穂さんという方で、「超危険で超低俗な自民党改憲案を斬る」という副題がついていました。

自民党の改憲案については、既に勉強し、このHPでも紹介していましたが、憲法学者が今、どうしているのか知りたいと思い、出席しました。

浦部さんのお話の中で、新たに知った点、考え方は次のようなものです。
   @ この自民党の改憲案は、改憲と言っているが、実は憲法の考え方を完全に変えようというもので、自民党も一時、新憲法と言っていたが、それの評判が悪かったので、改憲とした。
   A 内容は、天皇を元首として定め、国民主体の憲法でなくなる
   B 自衛軍(前の自民党案)から国防軍に変えた事で、自衛かどうかの議論をなくさせている。
   C 13条で個人として、と言っている言葉を人としてに変える事で個人の権利を否定している。
   D 個人の権利が侵される場合は、公共の福祉のためとなっている現況から、公益及び公の秩序として個人の権利を認めていない。
   E 米国は個人の権利を尊重するが、英語にすると公益Public Interest は公共の利益の意、公の秩序は、Public Order:社会秩序となり、日本語の意味とは異なるため、英語では通用するだろうとの事
   F 22条職業選択の自由について、現在は公共の利益に反するものはダメとなっているが、自民党案は、制限なしで認めている。この理由は、米国の規制緩和に対応する為である
   G 97条の憲法が最高法規であり、人権保障を言っている条項を、バッサリ削除している。
   H 自民党案は、国民が憲法を尊重しなければならないと言っているが、憲法は本来、国を規制するためのもの。本末転倒である。

これらの点を見ても、新憲法というべき内容で、改憲レベルの変え方でない事が明らかです。
最後の質問の時に、手を挙げ、次のようにお尋ねしました。

「良いお話をありがとうございました。自民党の改憲案の酷さに驚きましたが、このような憲法案が出てきたことに対し、その内容を憲法学者なり、学会なりが、有志でも良いですから、何か提言して頂けないかと思いますが?」
思いがけず、拍手が結構出ましたが、浦部さんの返事は、次のようなものでした。

「マスコミに乗せる事が、果たしてよいかどうかの議論が学会でもある。例えば橋下大阪市長が何か言ったりしたりすることを、マスコミが大々的に取り上げる事で、選挙で票を集めた事もあり、世間の目を引くことが必ずしも良いとはいえないという意見もある。」

それまで、良いお話が聞けたと思っていましたが、この答えを聞いて、本当に失望しました。

このような状況で、何もしない憲法学者は、一体、何のために存在しているのだろうか?
何も、自民党案の反対運動をしてくれと言ったのではない。見解を公にしてほしいと言っているだけです。

しかも、私達はこのような自民党の改憲案を具体的に知らない人がほとんどです。それらの人に、広く内容を知ってもらうためにも、専門家の意見は大事です。

憲法学者まで、御用学者になったのかと心底、失望しました。