日本経済が浮上出来ない理由

2010年7月11日

日本経済が20年も浮上出来ない理由が、あれこれ取りざたされていますが、そのどれも私には、肝心の事が指摘されていないと感じられます。

かつての経済の成長期では、男だけで、効率を上げて、どんどん前を進むやり方が最もよかったでしょう。
それ故、男は仕事、女は家庭での棲み分けで、男は全精力で、生活の全てを仕事に傾け、家族を養い、自分の人生を預けました。
それは丁度、戦前の男は戦争、女は銃後の守りと同じでした。民主化されたとはいえ、男と女の関係は、ほとんど変わっていないで最近まで来ていました。

経済の高度成長期が終わり、現在の経済は、プラトーの状態に入っています。20年前から。
プラトーの状態では、安く、多くで稼ぐのではなく、より消費者の好みに合ったもの、消費者が潜在的に或いは現に望んでいるものを見つけて、作ったり、サービスを立ち上げたりしていく社会です。安く、多くは、開発途上国のやる事で、成熟した日本のやることではありません。

今まで、男だけで、ひたすら技術の向上を目指し、製造量や販売量を上げる事をやってきた方法では、これからの経済社会では勝てません。現に中国や韓国に、圧倒的に負け始めています。2-3年前から国際化でなくグローバル化をと言われていましたが、それはようやく始まったところです。(国際化とは、日本のやり方をもって他の国に行って、商売なり製造なりをすることで、グローバル化とは、現地のニーズに合わせて製造や商売をする事)

携帯のガラパゴス化は有名ですが、あちこちにガラパゴス化はあります。テレビでもPCでも、技術はあれこれたくさん高度に入っていて、多くの人は使いこなせません。特に女性達は、高度の器械のほんの僅かな部分だけを使用し、それで、別に支障はなかったのです。余分の、技術者の好きで勝手に作った余分な機能のせいで、ひどく高いものを買わされていた事を除けば。

当初の国際化での失敗は、自分達は日本人で技術の高い良い製品を作っているのだから、開発途上国でも売れるはずだと言う思い込み。日本では女性達は、他に選択肢がなかったから仕方なく買っていたけど、海外では違います。選択肢は少なくとも複数あるのですから、いくら技術が高くでも、値段が高くて、複雑な器械は買われなかったのです。技術の高さなんて購買者は何も関係ありません。日常では、使いやすいものが、欲しいだけです。

この女性への視点と開発途上国の人への視点の両方に言えるのが、相手の気持ちや立場になっていない日本の男社会の姿です。

男だけで突き進んできた日本社会の今までの姿への反省が、全くないのが、私には不満です。
「男性と女性の違い」の違いで述べたように、突き進む傾向の強い男と、守り固める或いは調和を大事にする女と両方の良さを活かし、欠点をカバーしあう社会が、本当は必要なのです。

先進国の中で、いや100数カ国中で、90数位の位置にある日本女性の社会的立場の貧困さ。これを克服しないで、日本経済の再生は無いと私は思います。