低線量被曝によるバイスタンダー効果 本文へジャンプ
 
バイスタンダー効果という言葉をご存知ですか?
私は今回初めて知りました。バイスタンダーというのは傍観者とか第三者という意味だそうです。
しかし、内容を知ると巻き添え効果とか側杖効果とか言った方が適切なようです。
以下、11月3日の物理学会公開講演会で聴講したバイスタンダー効果について説明します。


マイクロビーム細胞狙い撃ち照射によるバイスタンダー効果の解明  小林泰彦(原子力機構(高崎)より抜粋引用
小林氏は放射線を細胞1個に当てる事が出来るようにして、バイスタンダー効果の研究をされた。

これは従来、低線量と高線量の照射に質的な違いはない、或いは放射線がヒットした細胞だけが影響を受けると考えていた暗黙の前提が、今日、間違いであることが明らかになっている。
即ち、低線量放射線の効果は、生体応答の寄与に大きく左右される。又、放射線の影響を受けるのはヒット細胞に限らない。
生体応答の寄与というのは、予め低線量放射線を照射しておくことで、その後の高線量照射に対して抵抗性を示すようになる現象で、放射線適応応答と言われる。実際のそのような良い効果は、ごく厳密な条件下になるようで、実用性はほとんどないようである。

バイスタンダー効果は、放射線を当てた細胞だけでなく、その細胞に隣接する細胞達に隣接細胞間をつなく微小トンネル「ギャップジャンクション」を介して放射線影響が伝達されたり、照射された細胞から放出された物質が培養液中に拡散して他の細胞に影響を与える事である。その効果は、アポトーシス(細胞の自殺)、染色体異常、突然変異、遺伝的不安定性、増殖促進、文化誘導、放射線抵抗性の獲得等多岐にわたる。
このバイスタンダー効果が確認されたことで、言えることが、従来、閾値なしのLNT仮説つまり高線量の直線的影響の延長線上にあると考えられていた低線量被曝の影響が、直線より上に膨れた形になるのではないかという事である。最先端情報である。

小林氏資料より
         
                                                       三原 翠