シーベルトSvへの疑問 本文へジャンプ
 
3.11以前には全く知らなかったのに、今では当たり前になっている言葉、シーベルト。しかしその内容は、単位として使用するには、あまりに問題が多い単位のようです。

以下、田中一郎氏の[シーベルトへの疑問」を参考に、わかりやすく、どこが問題なのかを説明します。
シーベルトとは、人間の放射線被曝の程度を推し量る評価単位ですが、その決め方が、非科学的で非実証的であるところから、内部被曝による健康被害を過小評価する可能性が高く、人々の判断を歪めているのではと田中一郎氏は懸念して、政府や関係責任者に再検討を促しています。
順に放射能関係の単位を説明します。
  ベクレル:1秒間に1個の原子核崩壊を起こす放射性物質の放射能を1ベクレルと定義(物理的に絶対量の単位)
  グレイ(吸収線量):放射線が物質中を通過する際にその物質中で失ったエネルギーの量。1kgの物質が1ジュールのエネルギーを吸収するとき、1グレイと定義。
  シーベルト(等価線量):シーベルトは、上記グレイに人体への障害の違いを考慮して放射線量を設定(放射線荷重計数)しているとしているが、その係数は、ガンマー線1に対して、β線も1、α線は20、中性子線が5~20となっていて、実態を合わない事が推測される。更に人体の臓器による感受性を考慮するとして組織荷重計数で修正するとしているが、組織全体で1になるような係数とされています。何故、合計を1とするような係数を用いるのか、ICRPの考え方では、内部被曝も外部被曝も同じに把握・合計するためのだそうです。
しかし、内部被曝は単なる吸収エネルギー量だけではない事は明らかです。しかも臓器1kg当りのエネルギー量で考えるのは、遺伝子への影響を考えれば、そのように単純化出来ないはずです。細かく見れば、バイスタンダー効果もあるわけですし。
シーベルトのこのような決め方について、北海道がんセンターの西尾正道氏は、その著書「放射線健康障害の真実」で「しかし、もっとも重要な事は、内部被曝の健康被害はエネルギーだけでは説明できないことである。内部被曝の場合は、粒子線は質量をもつため、透過力は乏しく放射性物質の周囲への近傍の細胞だけ影響を与える。しかし被曝線量の評価は全身化して換算するため、数値上は極めて少ない線量となる。この線量の全身化換算の問題に加え、それ以上に熱量として放射線の影響を考えていることがはたして妥当なのかという疑問もある。」と述べておられる。
更に問題なのが、①シーベルトには各物質の化学的特性が全く考慮されていない点である。例えばセシウムはカリウムと同じようと言われるが、水に対する反応は、セシウムの方がはるかに激烈に反応する。ストロンチウムがカルシウムと似た性質で、骨に特異的に沈着する事もシーベルトには反映されていない。
更に②放射線は人体の中で遺伝子を破壊するだけでなく、水分子や酸素に衝突し、活性化させてラジカルを生じるが、シーベルトには全く考慮されていない。③放射線が当たる事で有害物質に変わる事も報告されている。④先に書いたバイスタンダー効果も勿論考慮されていない。

ということで、シーベルトには騙されないように、ベクレルで判断するようにした方が良いようです。シーベルトは又、値が小さく見える効果もあり、シーベルトに慣れてきた事に反省です。