京コンピューターと放射線の影響確認 本文へジャンプ
 

放射能の人体への影響を知る事は、とても困難な作業のようです。

何故なら、通常の毒性物質や微生物中毒の場合は、量の変化に応じて、症状が現れます。これを確定的影響といいます。
しかし、放射線の場合は、放射線の放出という物理的現象が遺伝子に当たるという状況が元になっていますので、これは確率的影響と言われます。
それ故、従来、影響評価に用いられていた動物実験を行う事とか疫学的に調査する事では、確率的影響の評価は出来ないのです。
同じ条件の動物実験を繰り返しても、その結果は全く統一的でないそうです。(ICRPやIAEAが、甲状腺癌だけを放射能の影響と認めているのも、従来の方法でも観察できる特殊性のためです。)

では、どうやったら、放射線の人体への影響を証明することが出来るのでしょうか?

昨日、2月22日の午後、京大・阪大・神代3大学連携シンポジウムで、京コンピューターによる大規模シミュレーションが解き明かす世界という話を聞きました。
面白いいろいろなスパコンにより明らかになる世界の話を聞いていて、もしかして、確率的影響を数学的に解き明かせば、放射線の生体への影響をスパコンで明らかに出来るのではないか、いや、スパコンでしか明らかに出来ないのではないかと思い至りました。

最後に質問の時間があったので、真っ先に手を挙げ(あと一人しかいなかったようですが)、初めに面白い話ばかりだったことを感謝し、続いて、スパコンを使っての放射線の確率的の評価方法を確立してほしい旨発言しました。
返事は・・・・、期待していませんでしたが、やはりでした。
お答えになったのは阪大の中村春木先生でした。阪大は、唯一、放射線の影響を研究している大学と聞いていましたのに、自分は専門でないのでと言い訳しながら、わかりにくい説明をしておられ、失望しました。

ほんの思い付きでしたが、その後、あれこれ考えるにつけ、やはりスパコンの利用があれば何とか証明できるのではと思いますが、放射線の影響を過小評価したい政府や経済界でスパコンを使って脱皮を図りたい状況を考えると、放射線の影響はやはり正しく評価されない日々が続くのかなと思っています。