1点目として、妊娠牛の乳なので女性ホルモンが高いので問題という点です。実際の測定値は低いので問題ないというのが、現在の栄養界の認識です。確かに更年期の女性での実験で明らかに軽減効果が出なかったというもので、一番問題にすべき男の子の精巣の発達との関係の報告はないようでした。ホルモンは微量でも影響を及ぼすことを考えれば、科学的に害が確認できていないとはいえ、その実験や調査の難しさを考えると、害がある可能性を重視した方が良いと思います。従って、妊娠牛牛乳(現在市販されている物はほとんど)は、男の子には飲ませない方が良いと思います。
次にカルシウムの吸収等に関してですが、情緒的な意見を別にすると、牛乳中のリンを問題にすることはないようで、清涼飲料や食品添加物のリン含有が単体であるだけに問題なようです。
カルシウム吸収に対する信頼できそうだと思った総説が、Am.J.Clin.Nutr 2000;72:681-9にありました。要は、牛乳或いは乳製品が骨の健康に良いかどうかは明らかでないという結論です。例えば、あらゆる世代で調べた結果全体は、53%に際立った変化がなく、42%には良い結果、5%は悪い結果だったというのです。そのうちの21のしっかりした結果では、57%が変化なく、29%が良い結果、14%が悪い結果だったそうです。良い結果と悪い結果の比は、30歳以下では良い方が4倍、しかし、30歳から50歳と50歳以上は同じ比だそうです。骨の形成に牛乳やヨーグルトは良いかもしれないが、コテージチーズ等は良くないそうです。(ナトリウムの含量が高いそうで、プロセスチーズもそうだそうです。) 全体として、牛乳の摂取に加え、高たんぱくの食事が、骨をもろくすることになるようで、牛乳をたくさん飲む北欧諸国で骨粗鬆症が多いのは、蛋白との関係が問題のようです。
高齢者は、牛乳を飲んで、植物性たんぱくをとるのがよさそうです。 |