現在の食の安全をどう考えるのか 本文へジャンプ
 
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放射能に汚染されたかもしれない食品と放射能を口から摂取したことによる内部被曝の問題。
私達は、今 これまで考えた事のない食の安全の問題に向き合っています。
この状態で、私達はどのように考えていけばよいのかを考えてみます。

今までは、微生物による食中毒に関しては、切実な問題でしたが、化学物質による食の安全に関しては、消費者と科学者で意見の分かれる事が多い問題でした。

微生物性の食中毒で、最近話題になったのが、牛肉やレバーの生食です。馬肉と異なり、完全に清浄な状態での屠畜が、それほどでもない牛肉では、腸の中にある腸内細菌による汚染が防ぎきれず、レバーでは生体内で肝臓の方へ移行するとの事で、獣肉の生食は、危険この上ありません。微生物性の食中毒は、結果がすぐ出るので、その怖さがわかりやすいメリットもありますし、対策もとりやすいです。かつては食中毒菌として有名だった腸炎ビブリオは,水揚げ時の水の汚染を防ぐために水道水を使用する事で、ほとんど発生しなくなりました。

しかし、化学物質による食中毒は、細菌性のように急性で症状が現れるわけではないので(自然毒を除く)、却って怖さを助長しているのかもしれません。化学物質が蓄積する事で、病気になった例は、水俣病、イタイイタイ病、カネミ油症等があります。これらはいずれも、症状が出てからの原因究明までに長い時間がかかり、科学的な証明がないと門前払いになって、裁判沙汰にあり、長い長い時が経ってから、保障されたり、保障もされなかったりしています。
消費者が、化学物質を怖がる理由は、このような背景があるのではと考えます。
本当に化学物質はそんなに危険なのでしょうか?
公的に使用が許可されている化学物質は、勿論、危険ではありません。
ADI(1日摂取許容量)に基づいて、動物実験により十分な安全性を考慮して、その使用量が決められています。勿論、環境ホルモンのように、少量で特別の働きをする場合までは、考慮されていません。

化学物質汚染と似た状態が、放射能汚染です。放射能汚染は、まだわからない事が多く、化学物質のような動物実験も少なく、勿論、化学物質のようなADIもありません。又、放射能汚染は、放射線物質の化学的性質と放射線の物理的性質と2つあり、その両方が、生体に影響を与えますので、複雑で、一概に何ベクレルだから安全とか言えないのです。
放射性物質は、放射線を出すという他の物質とは大きく異なる性質を持つことから、とかくこの放射線の量のみを気にする場合が多いですが、核種の相違による生体における動態の相違に目を向けないと正しい判断が出来ません

今回の福島の汚染を考えた場合、セシウムだけでなく、ストロンチウムも1〜10%の割で含まれていますし、セシウムは筋肉、特に心臓に沈着しやすい性質があります。ストロンチウムは骨に付きやすいです。従って、セシウムは心筋梗塞や心不全を起こしやすく、ストロンチウムは骨髄に作用して白血病を起こしやすくなります。更にセシウムは水溶性物質の排泄器官である腎臓に作用し、腎臓の異常をもたらします。
ベクレル数だけをみた見方では、自然放射能もこんなにある、だから少々あっても問題ないという論になってしまいます。生体に入った場合は、生体との関わりにも十分な注意必要です。 
セシウムは、心臓、腎臓への沈着、ストロンチウムの骨への沈着を忘れてはいけません。  (2011年12月27日)

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