U.計画の実施(Do)

環境方針、環境目標及び環境活動計画を達成するための仕組みを整備するとともに、これを実行するのが「U.計画の実施(Do)」の段階です。計画を適切に実施するための具体的なルールを定めることも含まれます。

6.実施体制の構築

エコアクション21環境経営システムを構築、運用、維持し、環境への取組を実施するために効果的な実施体制を構築する。
実施体制においては、各自の役割、責任及び権限を定め、全従業員に周知する。

[解説]
環境経営システムを構築し、効果的な運用を図るためには、組織の代表者をトップとする全員参加の実施体制を整備することが必要です。代表者や各部門の責任者、各部門の実行責任者または担当者等の役割、責任及び権限を明確に定めるとともに、組織の一人ひとりが、環境経営システムの中で自らがどのような役割を担っているのかを理解することが必要です。そのために、構築した実施体制を図等に取りまとめ全従業員に周知します。
また、代表者は、組織の規模等の必要性に応じて、環境管理責任者を任命します。環境管理責任者は、環境経営システム全体の構築、運用、維持に関する実務上の権限を代表者から委任され、責任を持つとともに、その状況を代表者に報告します。
小規模事業者においては、各部門の責任者、環境管理責任者の役割を代表者が兼ねることも可能です。

推奨事項
・組織の代表者は、単に「かけ声」をかけるだけでなく、環境への取組を適切に実行するための資源を用意する
※資源とは、いわゆる「人・もの・金」のことで、環境への取組を実施するための必要な人員、設備、費用等を適切に準備することです

7.教育・訓練の実施

エコアクション21の取組を適切に実行するため、必要な教育・訓練を実施する。

[解説]
教育・訓練は、全従業員を対象としたものと、特定の業務に従事する者を対象としたものがあります。特定の業務に従事する者とは、組織に適用される環境法規等に関わる業務や、事業活動の中で特に環境に大きな影響を及ぼす活動、想定される緊急事態に対応する役割がある者等のことで、業務を行うために必要な資格や能力を確実に身につけることが求められます。
全従業員は、環境への取組を適切に実施するために、組織の環境方針を理解するとともに、組織が計画した環境目標や環境活動計画等における自らの役割や実施しなければならない取組について、十分に認識することが必要です。特に管理職においては、部門の責任者としての役割、責任等を認識することが必要です。併せて、環境問題の現状や環境経営の意味を知り、何故、環境への取組をしなければならないかを自覚することが重要です。
また、特定の業務に従事する者については、環境法規等が定める必要な資格等を有すると共に、実際の現場等において適切な訓練を行う必要があります。
そのために一律に教育・訓練を行うのではなく、それぞれの業務や役割等に応じた教育・訓練を適切に実施することが必要です。
教育・訓練の内容の例としては、次のようなものが考えられます。

? 認識・自覚等を高めるもの
○全従業員
・環境問題の現状やエコアクション21における環境への取組の意義、重要性等
・組織共通の環境目標及び環境活動計画の内容、手順
・担当する業務に関連した環境目標及び環境活動計画の内容、手順
・自らの役割及び責任
○管理職
・環境への取組の意義、重要性等
・エコアクション21の基本的な仕組み
・部門の環境目標及び環境活動計画の詳細
・部門の責任者としての役割、責任及び権限
? 特定の業務に従事するために必要なもの
○法規制に関連する業務の担当者
・法規制の詳細、遵守手順
必要な資格、能力等(資格の例:公害防止管理者*、エネルギー管理士*、特別管理産業廃棄物管理責任者*、危険物取扱者*等)
○環境に大きな影響を及ぼす活動に従事している者
例:排水処理担当者:排水処理手順、遵守すべき基準等
焼却炉運転担当者:運転手順書、遵守すべき基準等
緊急事態への対応者:緊急事態対応手順等


推奨事項
・教育・訓練の年間計画を策定し、階層別、職種別等、適切なプログラムにより実施する
教育・訓練の実施結果を記録に残す
規模が比較的大きな組織を対象にした要求事項
教育訓練の実施結果を記録に残す
※従業員数100人以上が一つの目安