8.環境コミュニケーションの実施

組織内において、エコアクション21に関する内部コミュニケーションを行う。
外部からの環境に関する苦情や要望を受け付け、必要な対応を行い、その結果を記録する。
環境活動レポートを定期的に作成し、公表する。

[解説]
組織における内部コミュニケーションは、エコアクション21に効果的に取り組むための重要な手段です。職場会議や掲示板等を通じて、環境目標及び環境活動計画の進捗状況等のエコアクション21に関する情報を従業員に提供するとともに、従業員からの意見を受け付ける等、双方向に情報をやりとりします。
また、外部からの環境に関する苦情や要望を受け付ける窓口(担当者)を設け、これに誠実に対応することが必要です。
環境に関する苦情や要望の受付内容(いつ、誰から、どのような内容、対応者等)、対応した結果(対応部署、対応策、結果等)については、記録しておきます。また、対応の結果によっては、同様の苦情が起きないよう、再発防止策を講じます。
事業者が環境への取組状況等を公表する等の環境コミュニケーションは、社会のニーズであるとともに、自らの環境への取組を推進し、さらには社会からの信頼を得ていくために必要不可欠な要素となっています。環境活動レポートにより積極的に情報を公開していくことが、社会からの信頼につながります。

推奨事項
内部コミュニケーションを図るため、朝礼や掲示板、社内メール等を活用して、環境経営システムや環境に関する情報を伝達する
環境に関する改善提案等の内部意見を受け付ける手順を定める
・環境に関する苦情や要望を処理し、地域住民、利害関係者との双方向の環境コミュニケーションを実施する手順を定める
・製品及びサービスの環境に関する苦情や要望(顧客、取引先、地域等からの)に対応する手順を定める

9.実施及び運用

環境方針、環境目標及び環境活動計画を達成するために必要な取組を実施する。
環境方針、環境目標を達成するため、必要に応じて、実施にあたっての手順等を定め、文書化し、運用する。

[解説]
環境方針、環境目標及び環境活動計画を達成するために、必要な取組を適切に実施します。特に、環境負荷の把握で特定された、取組の対象とすべき環境負荷及び活動については、取組が確実に実施されるようにします。そのために必要な場合は、実施にあたっての手順等を定めた手順書を作成し運用します。

推奨事項
・手順書には、実施にあたっての要件として、守るべき基準等を定める
規制遵守のために自主管理値等を定めて管理する
・環境関連法規等を具体的に遵守するための手続き、例えば測定の頻度、方法、担当者等を定める

・構内常駐の社外業者、取引先等にも、環境活動計画の内容を伝達し、必要な取組を要請する
請負業者については、契約時に、取組にあたって必要な事項を盛り込む

10.環境上の緊急事態への準備及び対応

環境上の事故及び緊急事態を想定し、その対応策を定め、定期的に試行するとともに訓練を実施する。
事故や緊急事態の発生後及び試行の実施後に、対応策の有効性を検証し、必要に応じて改訂する。

[解説]
事故や天災等により、油の流出、化学物質の流出等の環境上の緊急事態が発生する可能性があります。自らの事業活動において、環境に重大な影響を及ぼすどのような事故及び緊急事態が発生するか、その可能性を想定し、汚染等が最小限の範囲で済むよう、予め緊急事態への対応策を定め、準備をしておくことが必要です。
次に、その対応策が有効であるかどうか、例えば環境への影響が最小限にくい止められるか、準備品はすぐに使用できるか、連絡先の確認等、可能な範囲で定期的に試行するとともに、対応がスムーズに行えるよう訓練を実施します。
さらに、緊急事態の発生後や試行の後、対応策が効果的であったかどうかを検証し、必要に応じて対応策を改訂します。

11.環境関連文書及び記録の作成・管理

エコアクション21の取組を実施するために必要な文書を作成し、適切に管理する
エコアクション21で必要な取組の記録を作成し、適切に管理する。

解説]
文書は作成責任者(改訂の権限を有する者)及び発行日付、文書の変更及び改訂の識別等を明らかにし、記録は保管期限及び廃棄の手順を明らかにします。また、文書の管理については、その所在を明らかにしておくとともに、必要な場所において使用可能な状態にしておく等、適切に管理する必要があります。なお、文書及び記録は、紙媒体または電子媒体とし、それぞれ独立した形で存在する必要はなく、必要な文書及び記録を適切に管理するために、組織の実状に合わせた形式、形態で整理します。
エコアクション21の取組に必要な文書及び記録には以下のものがあります。

<文書>
・環境方針
・環境目標
・環境活動計画
・環境関連法規等の取りまとめ
・実施体制(組織図に役割等を記したものでも可)
取組に必要な場合の手順書
事故及び緊急事態の想定結果及びその対応策
・環境活動レポート

<記録>
・「環境への負荷の自己チェック」の結果
・「環境への取組の自己チェック」の結果
・環境関連法規等の遵守状況のチェック結果
・外部からの苦情等の受付結果
・環境上の緊急事態の試行及び訓練の結果
・環境目標の達成状況及び環境活動計画の実施状況、その評価結果
・問題点の是正処置及び予防処置の結果
・代表者による全体の取組状況の評価及び見直しの結果

推奨事項
 作成することが望ましい文書としては、以下のものがあります。
・教育・訓練計画書
・環境経営システムを構築、運用、維持するために組織が定めたルールを取りまとめたもの(例えば環境経営マニュアル)
・環境経営マニュアルや手順書等の文書は、改廃の手続きを定め、古いものは破棄するか、誤使用の無いようにし、定期的に見直して最新のものとする
・記録は、保存期間を決め、分かりやすく整理して保管するとともに、その紛失や損傷を防ぐ方法を定める