ISO14001構築の方法(3)Do-2

コミュニケーション

内部コミュニケーション

コミュニケーションは、日本語になっていると言っていいくらい日常的に使われていますが、その本当の意味は、双方向性の情報伝達です。そのような言葉が日本語にないため(日本では中央集権的な考え方が主流だったことが、言葉がないことでわかります。)、コミュニケーションという外来語をそのまま使用しています。

つまり環境マネジメントシステムで言っているコミュニケーションは、上からの伝達だけでなく、下からの意見も取り上げて考慮されることを意味しています。つまり、お互いが納得して進めていくことが必要なのです。わからなければ、納得がいかなければ、とことん尋ねましょう。答えられなくて、「なんでもいいからやれ!」等というようでしたら、その組織のシステムは決してうまく働きません。いずれ形骸化するでしょう。

内部コミュニケーションの具体的なやり方は、教育もそのひとつですが、毎日の朝礼での話や、提案箱のような仕組み、日報への記載等職場職場によっていろいろな形で行われています。

外部コミュニケーション

環境マネジメントシステムでは、利害関係者の存在をとても重要に考えています。
この利害関係者とのコミュニケーションが、外部コミュニケーションになります。
環境の場合の利害関係者は、地球上のあらゆる人や動物や植物までも含むかもしれません。
しかし、コミュニケーションが出来るのは人間だけですから、とりあえずは人間ですが、環境負荷を考えるときは、地球とその上の生物すべてを考えたいものです。

外部からの情報、特に苦情については、このシステムではとても重要に考えています。
ご近所からの環境に関わる苦情から、あるゆる環境関連の外部情報そして自治体等の行政からの指摘等、外部情報に対してはきちんと対応しなくてはいけません。
行政からの指摘は誰でも重要と考えますが、ご近所を重要と考える事には慣れていないかもしれません。
しかし、苦情についてはどれも同じように重要と考え、その経過を記録し、適切に対応することが必要です。
必要に応じて、不適合と位置づけ、是正処置(後述)をします。

また、著しい環境側面について、外部コミュニケーションを行うかどうかを決めて、その決定を記録に残し、行う場合はその方法を決めておき、そのとおりに行うことが求められています。
最近は、外部とのコミュニケーションが重要になってきており、積極的に公開する姿勢が好感をもたれます。
外部コミュニケーションは、環境問題に限らず、必要な場合が多くなっていますので、常に外部への発信への訓練をしておくことは、企業イメージを悪化させないためにも必要と思われます。何事も予め備えて準備をしておけば、いざとなった時あわてないですみます。手順をつくり、そのとおりやってみて、具合の悪いと事は直して、また訓練しを繰り返しておくと、適切な対応が出来、かえって組織のイメージを訳する可能性もあります。災い転じて福となすというのが、緊急事態やこの外部コミュニケーンへの備えです。

コミュニケーションは、内部も外部も、良くすることは企業にとって、どんどん必要なことになってきています。
誠実に、暴利をむさぼらず、企業活動を行っていれば、コミュニケーションは怖くないはずです。
やましいことのないような企業活動が、コミュニケーションの原点です。

運用管理

運用管理の項目は、規格の要求事項は、直接的な著しい環境側面で環境方針、目的・目標に関わるものの、文書化した手順を作り、維持すること。その手順には運用基準を明記することを言っています。
また、間接的な著しい側面に対しても、同じような手順の確立と実施し、維持することを言っています。請負者や供給者も含めて。

しかし、運用管理はこれだけではなく、著しい側面として取り上げられたが、技術的財政的その他の事情で目的・目標にならなかったものも、ここでの運用管理となります。これは直接にはここで、書かれていませんが、4.3.2項の最後の部分;組織はその環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持する上で、著しい環境側面を確実に考慮に入れること、を要求しています。
従って、継続的改善が現状無理な著しい側面は運用管理で、確実に維持していくことになります。

著しい環境側面をすべて目的目標に持っていかなくてはいけないと考え、継続的改善が無理な項目を著しい側面から削ったり、継続的改善になっていない項目が目的目標に挙がっている場合があります。それは、この運用管理をうまく使っていけていないからです。
運用管理を適切に使用することで、このようなおかしな運用はなくなります。
即ち、廃水処理施設や廃棄物管理等この運用管理になる場合が多いわけです。

緊急事態への準備及び対応

環境に影響を与える可能性のある緊急事態や事故を特定して、それらに対する対応の手順を決め、有害な環境影響を防いだり、少なくするように対処します。その手順等は更に何か起こったときは見直しをするし、毎年定期的に訓練をしておくとイザとなった時確実に実行できるので、規格も要求しています。

環境に関わる緊急事態は、組織の適用範囲外に影響を及ぼすことが基本です。

また、環境に関わる緊急事態の考え方を、リスクマネジメントとして捉えることも出来ます。
組織としての緊急事態を想定し、その手順を決め、時々訓練をすることは、組織にとっても有用なことと考えられます。