V.取組状況の確認及び評価(Check)

  

環境目標の達成状況、環境活動計画の実施状況及び環境経営システムの運用状況を適切な頻度で確認(監視・測定)し、これを評価して、問題があれば是正処置を行い、また問題が発生しないように予防処置を実施します。
また、環境目標が達成できない場合(あるいは達成が難しいと想定される場合)は、その原因を調査分析し、環境目標や環境活動計画の見直しを含む、対応策を検討し、実施することが必要です。環境目標が達成できないことよりも、その原因が解明できないこと、問題がある状態を放置したままにしておくことの方が問題であるとの認識を持つことが重要です。

12.取組状況の確認並びに問題の是正及び評価
環境目標の達成状況、環境活動計画の実施状況及び環境経営システムの運用状況を、定期的に確認及び評価する。
環境関連法規等の遵守状況を定期的に確認及び評価する。
環境目標の達成、環境活動計画の実施及び環境経営システムの運用状況並びに環境関連法規等の遵守状況に問題がある場合は是正処置を行い、必要に応じて予防処置を実施する。

[解説]
<確認(監視・測定)及び評価>
環境目標の達成状況、環境活動計画の実施状況、環境経営システムの運用状況及び環境関連法規等の遵守状況について、これらを定期的に確認(監視・測定)のうえ、評価します。
環境目標の達成状況の確認及び評価にあたっては、目標期間終了時点での達成を確実にするために、自らが設定した半年または四半期等途中段階における達成状況を適切に判断するための目安(指標)を設定しておく必要があります。目安(指標)は、取組をはじめて半年または四半期が経過した時点で、このまま取組を継続した場合、期間終了時点で環境目標の達成が可能か、未達成かを判断する基準となるものです。そして、確認及び評価の結果、判断基準よりも達成状況が下回った場合は、是正処置(対応策)を実施します。
環境活動計画の実施状況については、計画に沿った取組が、定められた責任・役割のもと、スケジュールどおりに実施しているか、環境経営システムの運用状況については、構築したシステムがガイドラインで規定する要求事項を満たしているか、自らが決めたルールのとおりに取組がなされているか、システム自体が有効に機能しているか等について確認及び評価を行います。
環境関連法規等については、届出の有無、測定の実施状況(時期、頻度等)、規準値の遵守状況等、遵法性について確認を行い、過去の実績等も踏まえて、現状の取組のままで今後も遵法性を保つことができるかどうか等について評価を行います。
また、環境負荷の把握で特定された取組の対象とすべき環境負荷及び活動等のうち、環境目標を策定しなかったものについては、その環境配慮の取組が適切に実施されているか確認及び評価を行います。
確認及び評価は定期的に行い、その頻度は確認する内容により、年に1回、四半期に1回、毎月1回、毎日等、それぞれの内容に応じて適切な頻度で行うようにします。
確認及び評価にあたっては、担当者が確認し、その結果を責任者へ報告し、責任者は評価したうえで必要に応じて適切な対応策を講じます。そのために、結果の報告手順として、作業担当者から、作業責任者、さらに部門の責任者、エコアクション21の実行責任者である環境管理責任者や代表者への報告というように、誰に、どの頻度で報告し、確認するかを定めておきます。

<問題の是正及び予防>
確認及び評価の結果、環境目標の達成状況、環境活動計画の進捗状況、環境経営システムの運用状況及び環境関連法規等の遵守状況等について問題がある場合は、問題の原因を調査・分析し、その原因を取り除き問題の再発を防止するための是正処置(対応策)を実施する必要があります。また、現状では問題がないが将来的に問題が起きると予測される場合は、問題の発生を未然に防止するための予防処置を実施します。
是正処置及び予防処置の実施にあたっては、起きてしまった問題そのものよりも、問題が起きた原因(起きることが想定される原因)を究明することが重要です。
例えば原因は、作業手順が明確でない(手順書がない)ことによるのか、測定器具の不具合(定期的な校正を行っていない)によるものか、作業員への周知、訓練等がなされていない(教育・訓練がなされていない)ためか、そもそも環境目標や環境活動計画に無理があったためか等、原因を明確にして、作業手順を見直す、教育・訓練を実施するまたは環境目標や計画を見直す等の再発防止策を講ずる必要があります。
是正処置の結果については、その有効性について確認を行い、継続的改善につなげていきます
また、ある部門で発生した問題の状況等を、関連する他の部門にも伝え、同種の問題が発生しないようにすること(対応策の水平展開)も重要です。
なお、エコアクション21の認証を受けようとする場合、基本的要件として、環境関連法規等の遵守が確認できることが認証・登録の条件となります。そのためにも、確実にチェックを行うことが必要です。

推奨事項
・内部監査を実施する
※取組状況の確認及び評価を客観的に実施するため、可能な場合は、年に1回以上、環境経営システム全体の状況を内部監査します。内部監査では、環境経営システムがガイドラインで規定する要求事項及び組織が定めたルールに適合しているか、環境目標が達成されているか(あるいは達成できるか)、環境活動計画が適切に実施され、環境への取組及びシステムが継続的に改善されているか等を中立的立場から監査の上評価し、その結果を代表者及び環境管理責任者に報告します。
規模が比較的大きな組織を対象にした要求事項
・内部監査を実施する
※従業員数100人以上が一つの目

W.全体の評価と見直し(Action)

組織の代表者は、環境経営の視点に立って、環境目標の達成状況、環境活動計画の実施結果及び環境経営システムの運用結果等、エコアクション21全体の取組結果について評価を行います。さらに、PDCAの次のサイクルに向けて、環境経営システム及び環境への取組の継続的改善を図るため、改善、変更等に関する必要な指示を行います。

13.代表者による全体の評価と見直し

代表者(経営者)は、定期的にエコアクション21全体の取組状況を評価し、全般的な見直しを実施し、必要な指示を行う。

[解説]
代表者は、エコアクション21全体の見直しに必要な情報を収集し、あるいは環境管理責任者に報告を求め、環境経営システムが有効に機能しているか、環境への取組は適切に実施されているかを経営的観点から、定期的(少なくとも毎年1回)に評価し見直しを行います。
見直しに必要な情報とは、環境目標の達成状況、環境活動計画の実施及び運用結果、環境関連法規等の遵守状況、外部からの環境に関する苦情や要望等です。
代表者は評価結果に基づき、環境方針、環境目標、環境活動計画及び環境経営システム等について、これらを変更する必要性を判断し、変更に必要な具体的な指示を環境管理責任者及び関係者に行います。
見直しの結果は記録します。記録する内容としては、前回の指示への取組結果、今回の評価結果及び指示内容等です。

◆代表者による評価と見直しとは
評価とは、単に環境目標が「達成できた」あるいは「達成できなかった」という取組の結果を取りまとめることではありません。達成状況や取組についての結果を踏まえて、達成できた場合は目標の設定方法やそのレベルに問題はなかったか、達成できなかった場合はその原因は何かを明らかにします。また、環境経営システムは有効に機能していたか等を分析し、次年度以降の環境目標をどのように策定し、どのような取組を行うべきか、環境経営システムをどのように変更すべきか等について検討し、改善点を明確にすることです。