ISO22000構築のためのアドバイス(2) 前提条件プログラムPRP

5Sが出来ていたら、一般衛生管理(ISO22000では前提条件プログラムPRP)を確認しましょう。出来ていなければ、確実に構築していきましょう。

コーデックスの一般衛生管理(食品GMP)は、次の8項目です。

@原材料の生産
A施設の設計と設備
B食品の取扱管理
C施設の保守と衛生管理
D人の衛生管理
E食品の搬送
F製品の情報と消費者の意識
G食品取扱者の教育・訓練

@ 原材料の生産とは、原材料が衛生的に生産されている事が必要である事を言っています。 しかし、製造者は、すべての原材料が安全で衛生的に生産されている事を確認する事は困難です。それで、購入時の購入条件として、一定の細菌数や残留農薬の量、アレルギーの存在等、必要な要件を記入した契約を結んだリ、購入した物を適宜検査したり、或いは検査結果を付す事を条件にしたりして、この「生産」をクリアしています。
  購入者も原材料受け入れ時に、適切な検査(多くは官能検査や記録の確認)を行います。

A 施設の設計と設備は、食品を製造する場所やその施設・設備の状況は、衛生的に製造がおこなわれるようになっていなくてはいけないという事です。
  立地は近くに汚染源となるような物がないことや洪水などが起こらない場所、ネズミや昆虫の群生しにくい或いは廃棄物が処理しやすい場所である事です。
  施設はネズミや昆虫が防げる構造である事、汚れたものと衛生的であるべき食品が近くにないようになっている事(これを交差汚染の防止と言います。)です。
  また、壁や隔壁、床などが耐久性があり清潔にしやすい材質で作られていて、平らで、乾きやすいことも必要です。隅が丸くなって汚れにくい境にしてあるのが理想です。
  設備は、消毒しやすい、食品の残さが残らない又は分解して清潔にしやすい設備が理想的です。
  設備には飲用適の水の供給、排水が速やかに排出される構造、廃棄物処理のシステムが必要です。
  また、人の衛生管理のための設備も備えられなければいけません。
  温度管理や空調・換気・照明・冷蔵庫冷凍庫等適切な保守管理と清浄化の出来る貯蔵設備が必要です。

B 食品の取り扱い管理は、製造・加工、流通等の各段階で、食品の安全を確保するための適切な取扱いを求めています。
  この項目を完全に行うためにはHACCPの導入になります。
  またこの項目の中には、
  1)食品製造において温度や時間を管理する重要性
  2)交叉汚染の防止
  3)原材料の搬入時の確認の必要性
  4)容器包装に係る衛生的観点
  5)水等の安全性への対策
  6)危害の発生する可能性のある食品の回収手順
  7)上記の管理監督や文書化・記録の必要性
  等が含まれます。

C 施設の保守と衛生管理は、せっかく施設や設備を適切に作っても、その使用がいい加減では、食の安全は守れません。
  適切な保守管理や洗浄、廃棄物管理やネズミや昆虫の排除管理を行い、その様子をモニタリングして記録に残し、食品の汚染が起こらないよう注意します。モニタリングの結果を見ることで、改善すべき点を見つけることも出来ます。

D 人の衛生管理とは、食品の製造等に直接関わる人は、そもそも、病気であったり、保菌者であったり、けがをしていたりしてはいけません。定期的に検便を行い、さらに自己申告や観察により、そのような人が直接食品製造に関わらないようにします。
  また、製造現場に入る人間は、常に清潔でなければならず、適切な服装、身だしなみ、そして出入りの際の手指の洗浄消毒、衣服の清掃が必要です。訪問社も例外ではありません。

E 食品の搬送は、食品が祖先されないよう清浄で清潔な容器で行い、また中身がこぼれるようなことのない十分な大きさも必要である。そして食品用は、他の用途には使用しないようにします。

F 製品の情報と消費者の意識とは、製品に適切な情報を表示する事で、消費者に適切な取扱いが出来るようにします。
  また、ロット番号等を明確にする事で回収などのへ備えをしておく事も大切です。ISO22000におけるサプライチェーンの要求もこのような製品の識別をキチンとする事が基になっています。

G 食品取扱者の教育・訓練は、食品製造に直接係る人ばかりでなく、間接的に係る人も食品衛生の知識をもち、汚染や劣化から食品を守るという事に自覚を持たせる事が必要です。また、食品衛生ばかりでなく、消毒薬などの化学物質の取扱いもあるので、そのような危険物に対する正しい知識と取扱い訓練も必要です

−食品衛生の常識も時代とともに変わっていきます。毎年、一人づつでも食品衛生責任者講習を受講させ、最新の情報を取得し、専門家の数を増やす事は、全体のレベルアップに有効です。

ISO22000では前提条件として一般衛生管理を位置づけ、決してHACCPがメインであると言っているわけではありません。
あくまでもHACCPの前提に一般衛生管理があり、これが十分機能して初めて適切なHACCPが設定・実行されていきます。

食品衛生法関連の条例として各地方自治体で、この食品衛生一般管理は設定され、保健所の指導で実施されているはずです。
自分達が既に実施している事とその確認方法を洗い出し、やるべき事を挙げていくことで、現在を活かしたシステムの構築を行うとよいでしょう。