ISO22000構築のためのアドバイス(5) HACCPプラン

前回までで、ハザード分析を行い、オペレーションPRPやCCPを決定する説明をしてきましたが、それ以前に、これらをする人々を決める食品安全チームリーダーの決定と食品安全チームのメンバーの決定を、経営トップは行います。これらの人々が中心となって構築を行うわけです。食品安全チームのメンバーは品質管理の人ばかりでなく、製造や工務(技術)など必要な経験や知識を持っている人をメンバーとします。社内だけでは心もとない場合は、コンサルタントのような外部の人をメンバーとする事も認めています。そしてチームメンバーの力量を記録として残す事が必要です。
手順を決めたり、記録を残しすというのは、次章で述べるISO22000全般に関係するマネジメントシステムの考え方から説明しますが、今までの構築の中でもずっと関係している考え方です。

定めたOPRPやCCPを具体的にどのように管理するか具体的に定めるのが、HACCPプランになります。

ハザード分析の順番からいくと、まず原材料購入時の条件がOPRPになっています。(原材料受入れ基準)
これはそれぞれの原材料について1件づつ、詳細な品質等の購入条件を文書化し、特に微生物数等については定期的に(年何回といったように)、チェックする必要があります。信頼できる所は頻度を落とし、経験が少ない時は回数を増やすようにするとよいでしょう。

次に冷蔵庫冷凍庫の温度管理がOPRPです。食品衛生法では食品の種類によって、冷蔵温度10℃以下、4℃以下の2種を定めていますが、サルモネラ、腸炎ビブリオ、O-157等多くの病原菌が10℃以下でも発育可能である事を考えると、4℃以下に設定する方が望ましいでしょう。

冷凍の場合は、それぞれの今までの経験からの冷凍温度(以後の温度保持のための)が最適である場合は、その温度にすべきですが、特に適正値の検討をしていないでなんとなく昔からー20℃にしているような場合は、本当にその低さが必要かどうかの検討を1度行っておくとよいです。なぜなら温度を1度上げられれば、無駄なエネルギーを使用しなくて済むばかりでなく、経済的にもプラスになります。

ただ、冷蔵冷凍の設定温度は微妙に食品の品質に影響を与えいる可能性があるので、法的な基準は最高値を定めている事をしっかり認識する必要があります。(これは食品製造に携わる人には当然の事ですが、ISOの審査をする人への注意です。)

作業工程での温度最適値は、モニタリング(継続的に監視測定できること)が可能な方法での管理手段を用います。例えばハンバーグの中心温度を常に測定する事は大変ですが、予め中心温度を○℃にするには、何℃で何分加熱すればよいかを調べておいて、その温度と時間とをモニタリングすることで中心温度を測定したものとみなします。この場合は常にハンバーグの厚さが一定でないと成り立たないことなので、更にハンバーグの厚さのチェックも必要となりますし、ハンバーグの厚さの変更を加熱温度と加熱時間とに反映させる手順が必要です。

このような各OPRPやCCPにおける管理手段の決定は、今まで一般に受け入れられている経験や、科学的根拠、法的根拠、中毒事件例等多くの知識や情報に基づいて決定されるので、そのような情報をいかに的確に集めるかも重要です。情報源として食品産業センターのHACCP関連情報データーベースが有効ですが、更にいろいろな情報を集めて、過去の自分達の実績も考慮に入れて、決定します。そしてそのような過程が第三者にもわかるように、記録に残します。これはまた、問題が生じた時には、その考え方のどこの点が間違っていたのか、あるいは、どのような視点が欠落していたのかを検討する材料にもなります。

実際にCCPに関して、どのような管理手段とそれがうまくいかなかった場合の是正処置、その管理手段が適正であるかどうかを判断する妥当性の確認等の項目を具体的にどう書くかの例を示す