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22012/07/15
7月2日から8月12日まで、国家戦略室が「エネルギー・環境に関する選択肢」に関するパブコメ(パブリックコメント)を募集しています。要は、今後原発をどうするかを聞いているような内容ですが、実は、その内容には隠された意図が見え隠れするようです。今日、NPO気候ネットワークの集会に出て、詳しい説明を聞きましたので、その資料を参考にしてご説明します。一人でも多くの方が、パブコメに参加し、ご自分の考えを表明し、選挙だけでない政治参加をされる事を願っています。
パブコメで聞いている事
  フクシマの事故を踏まえて(教訓でなく)、2030年までの国のエネルギー・環境戦略の見直しを原発依存度を基にして、3つの選択肢を提示して、国民に選択させ、今後のエネルギー政策を定めるつもりのようです。
  その3つの選択肢とは、 @原発ゼロシナリオ  A原発15%シナリオ  B原発20〜25%シナリオです

@原発ゼロシナリオ:唯一の原発を0%にする選択肢です。しかし、いつ%にするのかは書かれていません。2030年までのエネルギー戦略と言っているのですから、2030年までにと受け取られかねません(その意図が隠れているように見えるのは私だけでしょうか。)。
この選択を選んでも変に使われないように、省エネを進めて、自然エネルギーを導入して、原発に頼らないしかも温暖化を抑制するシナリオが必要である事を強調する必要がありそうです。
A15%シナリオ:2010年が26%だったことから考えると2030年に15%は減っているように見えますが、既設の原発を減価償却が終了する40年間まで運転をほぼフル稼働で続行し、電力会社、原子力業界、財界が経済的負担を回避するために原発を使い続けるシナリオです。地震活動期に入ったという日本列島で、従来通りに現在の原発を使い続けるシナリオです。15%を守るためには、原発の建て替えや新設も含まれる可能性大で、原発温存シナリオです。
B原発20〜25%シナリオ:2030年に20〜25%と言うのは、原子炉が40年で廃炉にすることを考えれば、数多くの原発を増設するシナリオで、原発推進シナリオです。脱原発に向かうと言っていたのに、このような選択肢を出してくること自体、政府の態度のおかしさがよく表れています。15%シナリオを折衷案として持って行くために出してあるのではと考えられます。
ゼロシナリオを選んでも、このパブコメ自体に問題があるので、その点をしっかり意見表明しましょう。
以下、主な8つの問題点です。上記と重なる部分もありますが。
1) 原発を何時までにゼロにするのかの期限を決める事が大事です。期限が無ければ2030年にようやくゼロになりかねません。早期にゼロにするようあなたの希望の期限も入れて記載しましょう。省エネはまだまだ出来ます。町を見れば、明るすぎる店内や誰も使ってなくても動き放しのエスカレーター等々節約できるところはまだまだたっぷりあります。
2)省エネがたった1割に想定されていますが、基本問題委員会では、2030年までに30%まで可能と言っています。省エネを進めるための排出量取引制度や削減所帯への優遇料金制度等、制度面の取組も必要です。
3)化石燃料・特に石炭燃料の依存が大きい事。 日本では1990年以降、石炭火力発電を増やして、原発との両輪で、大規模集中型の電力システムを構築して来て、CO2排出が多い石炭を安いからと言って多用して来ています。原発を止める以上、CO2排出の多い石炭を止め、天然ガスにシフトすべきです。
4)再生可能エネルギーの導入見込みが甘い、もっと増やせるはずです。例えば風力発電は、ドイツやスペインばかりでなく、中国や米国、そしてインドも日本よりはるかに多くなっています。(原発に固執し、オタオタしている間に、何でも、どこにでも抜かれていく日本の現実) 又、再生可能エネルギーはすべて国産で、何より、国家の安全保障の為にも有用です。
5)温暖化は先送りでなく、温暖化対策もとった上での脱原発が必要です。脱原発でも脱化石燃料で、温暖化を抑制出来ます。
6)核燃料リサイクル、再処理の余地をまだ残しています。これだけ非現実的になっても、今回の選択肢では核燃料リサイクルを選択できません。ゼロシナリオのみが再処理とセットになっていて、他の選択肢では政府が決める事になっています。出来もしない再処理にお金をつぎ込み続けるのは大変な無駄です。又、原子力大綱の見直しの中でも再処理よりそのまま地下にうずめる方が数兆円も経済的だと明らかにしています。もんじゅの維持に毎年200億円の電気代がかかっています。ナトリウムを温めているのです。エネルギーもお金も無駄です。
7)電力の自由化と発送電分離は必要ですのに、そのようなシステム改革については何も言っていません。節電や需要側も柔軟・能動的に需給バランスをとる事を発電と同じ価値があることに気づき制度化することが必要です。
8)ゼロシナリオでは、負担を強調しています。しかし、再生エネルギーへの強化は、将来への投資でもあります。原発を使い続けては、事故はなくても放射性廃棄物を何百年も将来世代に負担をさせます。どちらの負担が良いかは明らかです。
これらの情報を基に、パブコメを私は書きます。