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2012/05/18
4月20日の朝日新聞の朝刊の記事を読み、橋下大阪市長のマネジメントに関する発言に違和感を覚え、次のように朝日新聞のメールで投稿しました。
前略
いつも貴紙を興味深く読ませて頂いています。
今朝の「学校は組織、ルールに従え」と言う記事を読み、メールさせて頂きました。
日本語で管理と言った場合、英語のでのマネジメントとコントロールと2種類の言葉が該当します。
これは、日本にはマネジメントと言う概念が無かったため、適切な日本語がなく、マネジメントと直接行っています。日本での一般的な管理は、コントロールを意味している場合が多いです。ですから、ISO14001は、環境マネジメントシステムと言い、当初言っていた環境管理システムは、使わない事になっています。
つまり管理は、英語のコントロールであり、今、橋下市長がやろうとしているのがまさしくこのコントロールです。
マネジメントは、先に進むための指導を含めたPlan−Do−Check−Actのシステムを行っていく事でもあります。
今回の例でいえば、皆が国歌を歌いたくなるように国の政治を良くしたり、かつての被征服者に対し、礼儀を以て適切に対応していく事を目指す事です。ルールを決めたら従うのは当然ですが、従う範囲に裁量の余地があってよいのです。がんじがらめにルールを厳密に守らせようとすると、人は何も考えずに唯従うだけの人間を作ってしまいます。橋下さんがそのような人間を作り出したいと考えておられるのでしょうか。それでなくても、他の人の意見に従い、自分の意見を言わず、長いものにまかれる人が多く、それが、今日の日本を作り出しているのに、橋下さんは、そのような日本を変えようと思って居られるのではと思っていました。
橋下様、マネジメントとコントロールの違いをきちんと学んでください。
情けない思いを、多くの人にさせないでください。せっかく期待していたのに残念です。
三原 翠
この投稿後、朝日新聞の担当の方から連絡があり、電話で種々の説明をしたのち、送られてきた原稿が下記のようなものでした。
東京都世田谷区 無職 三原翠(67)
 「マネジメント」は、日本語で「管理」と訳されています。適正な訳語とはいえず、そのために「コントロール」と誤解されやすいのですが、橋下さんがやろうとしているのも、まさにマネジメントではなくコントロールだと思います。
 私は3年ほど前まで、国際的な環境マネジメント規格「ISO14001」の審査員をしていました。本来マネジメントとは、目的に向かって進むためにplan(計画)、do(実行)、check(評価)、act(改善)のサイクルを回していくことです。学校なら「よりよい教育を行うこと」が目的であって、そのために何をするかが問われるべきです。
 橋下さんは、教員に君が代の起立斉唱というルールを徹底させることを「学校マネジメントの鍵」と考えておられるようですが、がんじがらめのルールを厳密に守らせようとすると、人は何も考えずに従うだけになります。橋下さんは、本当にそんな人間を作り出したいと考えておられるのでしょうか。
 自分の意見を言わず、長いものに巻かれる人が多いといわれる日本。そんな日本を変えようとしているのが橋下さんだと思って期待していたのに、残念です。橋下さん、マネジメントとコントロールの違いをきちんと学んでください。
原稿を下記のように訂正させて頂きました。上記原文のアンダーラインの部分は、私の文ではありませんので絶対に載せないでください。基本的に、否定語を使わず、非難せず、憶測を書かない事を心がけています。又、仕事は、一応、コンサルタント会社を運営していますので、無職とは言えない事に気づきました。

 東京都世田谷区 コンサルタント 三原翠(67)
「マネジメント」は日本語では管理と訳される事が多いですが、日本語の管理には、コントロールの意味もあります。橋下さんがやろうとしているものは、このコントロールにあたります。私は数年前まで国際規格の環境マネジメントシステムの審査員をしていました。本来、マネジメントとは、目的を達成するためにplan(計画)、do(実行)、check(評価)、act(改善)のサイクルを回していくことです。
学校の管理をマネジメントでなく、コントロールで行って、がんじがらめのルールを厳密に守らせようとすると、人は、何も考えずに従うだけになります。橋下さんは本当にそのような人間を作りだしたいと考えておられるのでしょうか?
自分の意見を言わず、長いものに巻かれる人が多いといわれる日本。そんな日本を変えようとしているのが橋下さんだと思って期待していたのに、残念です。
橋下さん、マネジメントとコントロールの違いをきちんと学んでください。
5月10日付の朝日新聞朝刊の教育欄に最終原稿としてこのように載りました。初めの部分に私の紹介を加え、他はほとんど同じですが、ポイントポイントでのちょっとした訂正が、よく効いている事に感心しました。


この記事の後、何か知り合いから連絡があるかなと楽しみにしていたのですが、残念ながら、あまり気づかれなかったようです。